無駄な会議を変えられない10の原因

無駄な会議を変えられない10の原因

これは以前から言われていることなのですが、現状、日本の労働生産性はかなり低いです。OECDデータに基づく2019年の日本の時間当たり労働生産性は47.9ドル(4,866円)で、OECD加盟37カ国中21位とあります。日本の企業側からすると、自分達の仕事のやり方に疑問を持たず、生産性が悪いということすら想像がつかないのかもしれませんし、単純に生産性の上げ方を知らない可能性もあります。
生産性の低下、その一つの原因として
まず考えられるのが、会議・ミーディングの多さ、長さ、またその質です。
そもそも「会議が多すぎる。」「長すぎてメインの業務ができない。」「今日も一日MTGで終わってしまった。」なんて愚痴を聞いたこともあるかもしれません。実際に終わってみると、何も決定したことが無く、チャットのやりとりで済んだんじゃないかと思うこともよく見られます。

個人的にはそんな会議を「足踏み会議」と名付けているのですが、そんな様な会議を変えられない原因を考えていきたいと思います。

①会議と報告会を混合してしまっている

会議を報告会と混合してしまっているケースは非常に多いです。社内でのビジネスリテラシーが全体的に低い場合は混合してしまいがちで、その違いを理解することから始めた方が良いでしょう。実際、会議の目的を出してみると、項目がただ各チーム毎の報告であったりします。

報告会は報告会でそれ自体はあっても良いのですが、会議をしようとしているメンバーの意図するものそれぞれ違うと、そもそも会議をする意味があるのかという話になりかねません。必要性が感じられず、それであればチャットで共有するだけで問題ないのではということにもなりえます。

②参加メンバーが会議の進め方を理解していない

このあたりは会社員であっても社内教育やOJTで習ったりするケースが少ないのかもしれません。そのため、実はちゃんと進め方を理解している人は少ないことが考えられます。

参加メンバーの一人一人が会議の意義や目的、また進め方を理解していないとなかなか会議自体が蛇行してしまうことや参加メンバーが発言を遠慮してしまうことが発生するので、専門書籍を共有するなどして、進め方を共有した方が得策でしょう。

③時間を決めていない

会議の時間を決めないことは、もちろん会議の精度を低下させるとともに、時間配分のマネージメントができなくなってしまいます。長引いてしまいそうな会議であるならそもそも出席することさえ懸念してしまうのではと感じます。2時間、3時間も会議をしていると中だるみもしますし、集中力が持たないこともあるなど、デメリットがとにかく目立ちます。

④アジェンダを作成しない

アジェンダは会議の議題や目的、何を決めるのかを明文化することです。アジェンダを作成しないと、その会議の目的、何を決めるのかがはっきりしないまま、会議を行うことになり、無駄が多く発生します。時間の無駄、労力の無駄です。事前に共有することで効率化することができるので、事前に参加メンバーにアジェンダを共有する必要があります。

⑤議事録をとらない

議事録を取らないのは論外なのですが、議事録担当を決めて、書記としてとると何を決めたのか、どういった課題が残されているかが後でわかることが利点です。

議事録をとらないと、何度も同じ様な会議を永遠続けることもあり得るからです。定期的に会議を行う場合などは持ち回りで担当を決めるなどして書記担当を決めておきましょう。

⑥ファシリテーター(議長)を決めていない

ファシリテーターという言葉も最近でこそ一般的になりましたが、ちょっと前まではあまり知られていなかったのではと感じます。それほど重要視されていなかったのかとも思います。ですが、ファシリテーターがちゃんといるかいないかで、会議の質がかなり変わってきます。誰かが固定で担当するのではなく、誰もがファシリテーターに替われる状態が理想です。

⑦空気を読みすぎ、同調したまま進行する

極め付けがこれだと思うのですが、日本人の特性として、場の空気を読みすぎてしまう。結果、会議中に何も意見を言わないなんてことはざらにあることです。これは日本特有だということもよく耳にしますが、アメリカなど海外では、発言しない者は仕事をしていないことと同等に見られてしまいます。得意でない場合は個々でしっかり意見を言える準備が必要です。

⑧何も解決せずに終わる

折角時間をかけて会議をしたのにも関わらず、何も決定せずに会議をいとも簡単に終わらせる。これほどまでに無駄なことはないかと思います。何も解決しなければほぼ意味のない会議となります。どうしても解決できない場合は解決させる具体的な対策までを決めるなど工夫が必要なのではないでしょうか。

⑨切羽詰まっていないタイミングで会議を設置している

とりあえず、なんとなくの会議をする習慣がある、してしまう。結局のところ、色々な意味でこの部分が大きいのかと思いますが、大抵の場合、切羽詰まった状態で会議をしていないことが最も大きな原因と考えます。

そういった状態で会議をしているからこそ、何も決定せず会議をいとも簡単に終わらせる。そういった会議は無意味であることを知っていながらそうしてしまうということは、裏を返せばそれほど切羽詰まった状況ではなく、まだまだ余裕があるということなのです。

⑩会社の体質

これは最も根本的な問題なのだと思いますが、会社の体質の問題のケースもあります。そういった無駄な会議に目をつむり黙認している会社は何かを抜本的に変化することが難しい体質なのでしょう。

会議だけの話ではなく、会社の体制、業務や勤怠に関する仕組みを変えることがそもそも難しい可能性があります。思い切って会社での会議のやり方をプレゼンしてみるのも良いかもしれません。



正しい会議を行うためには正しく会議をする方法を知る必要があります。社内、メンバー間で共有、同じ認識を持つことで会議が有効化され、ゆくゆくは日本の労働生産性を向上させることに繋がるかもしれません。